本日、この記事を書いている現在は3月11日。
東日本大震災から9年が経ちました。
当時の私は営業部門で働いており、海外のお客様と電話で話している最中でした。
「今、地震があったけど、日本では日常茶飯事だから」
という会話をして電話を置いた記憶があります。未曾有の大災害になっている事を知らずに。
その後、調達部門では部品を調達できない状況となり、工場も停止せざるを得ない状況に陥りました。
あれから9年、自然災害に対するリスク回避策が見直されてきました。
リスク回避と言っても、色々なリスクがあります。
ここでは、自然災害に対して、調達・購買部門がすべきリスク回避対策の3つを紹介します。
自然災害に対してリスク回避の為に、購買・調達部門が行うべきつの対策
緊急時の行動マニュアルを策定する
大きな自然災害が発生した時、部門として一丸となって対応する必要があります。
各バイヤーが個別に行動していては効率も悪いですし、どの部品が調達できなくなるのか、という情報もまとまりません。
その為、緊急時に即座に一丸となって対応できるように予め行動マニュアルを策定する必要あります。
・誰がリーダーとなり対策本部をスタートするのか
・災害発生時、何分以内に対策本部を開設するか
・対策本部の場所
・何分以内に各バイヤーは対策本部に集合をするのか
・何から確認をするのか
・誰が、どのサプライヤーにどの様に連絡を取り、状況を確認するのか
・確認した情報はどこに集約させて記録を残すのか
・中間確認を何時間以内に行うのか
・休日に自然災害が発生した場合の行動マニュアル
この様な条件を予め作っておき、事前に各バイヤーに認知させておく事で、自然災害発生直後の初動が非常にスムーズで速いものになります。
自然災害が発生した時に重要なのは初動です。
サプライヤーを把握する
まずは、自分達がモノを購入しているサプライヤーの事を把握する事です。
サプライヤーの場所の把握
・サプライヤーの工場はどこにあるか?
・サプライヤーの本社・支店はどこにあるのか?
サプライヤーだけでなく、サプライヤーが部品・材料を調達している会社の場所も確認する事が必要です。
・サプライヤーの下請け会社はどこにあるのか?
・サプライヤーが部品・材料を調達している会社はどこにあるのか?
これらの情報を入手し、Googleマップなどに登録しておきます。
何かしらの自然災害が発生した時、発生源周辺にあるサプライヤー、下請け会社などを瞬時に把握する事が出来ます。
結果、災害発生時に無駄な調査をする必要が無くなり、初動をより早く正確に実施する事が出来ます。
出来る事なら、毎年更新が好ましいです。
サプライヤー管理の一環として、各サプライヤーに対して管理票を配り、変更点がある場合のみ記載してもらえば、更新も楽に出来ます。
サプライヤーが自然災害に対して実施しているリスク回避対策の把握・指導
各サプライヤーに対して、自然災害に対してどの様なリスク回避対策をしているのか?を確認します。
特に、自社製品に対して使用しているコア部品を購入しているサプライヤーとは特に念入りに話をする必要があります。
コア部品などは、自社で製造する、または部品在庫を持つなどの対策を検討すると同時に、特定のサプライヤーからしか購入できない場合は、一時的に材料が調達できなくなった場合でも、生産が停止しない程度の材料在庫を持っていただくなどの交渉も必要になります。
サプライヤーも彼らが購入している調達先に関して把握させておく為、必要に応じて自社が行っている管理手法を事を紹介しましょう。
コア部品を内製化する
自社に部品加工をする部門があるのであれば、コア部品は内製出来る様にしておきましょう。
コスト面を考慮して普段はサプライヤーから購入している場合でも、緊急事態には自社で製造できる体制を持っておく事でリスク回避に繋がります。
部品在庫を持つ
在庫は悪という意識がまだ根強いかと思いますが、悪である在庫は「必要無い在庫」です。
持つべき理由があれば、それは悪ではありません。
自然災害が多い日本において、在庫の在り方は見直すべき必要があります。
リスク回避の為の在庫は必要なのです。
どれくらいの在庫を持てば良いのか?大抵の自然災害であれば1か月ほどで復旧する事を考えれば、それくらいの期間耐えられるだけの在庫で良いかと思います。
顧客に対する製品の安定供給はサプライヤーの責任の一つです。その為、全ての在庫数量を自社で持つ必要は無く、自社で持つべき在庫量はサプライヤーとも協議しながら決めていきましょう。
複数社からの調達
電子部品などは難しいかもしれませんが、板金部品・切削部品などの所謂メカ部品に関しては、普段から複数社から調達する様にし、災害時に1社の生産が停止してしまった時には、他社に協力を求める事が出来るような体制を整えておきましょう。
重要なのは、
・災害時の特別処置として一時的に調達先を変更する、という事を被災したサプライヤーに理解していただく事
・変更先のサプライヤーに対しても、一時的にヘルプしていただきたい旨の依頼をする事
です。従来のサプライヤーにとっては、注文が無くなる恐怖があるので、パートナーとして共に乗り越えるという姿勢を見せて安心させる事が大切です。
また、一方で助けてもらうサプライヤーに対しては、一時的な注文ではあるが、この支援に対してはサプライヤー評価に反映させる旨、それに応じて新規部品のサプライヤー選定において優遇する旨を伝えてましょう。
まとめ
日本のサプライヤーから調達をする場合、自然災害リスクは常につきまといます。
どの地域から購入したとしても、
・地震災害
・洪水災害
・台風災害
・火山災害
・降雪災害
などの自然災害からは逃れられないと言っても過言ではないです。
その中で、災害発生時に生産が停止しないようにする為のリスクを回避するためには、下記を取り組んで準備をしておくことが重要です。
・緊急時の行動マニュアルを策定する
・サプライヤーの場所の把握
・サプライヤーの下請け/部品・材料の調達先の把握
・サプライヤーの自然災害に対するリスク回避対策の把握・指導
・コア部品の内製化
・複数社からの購買・調達
何か起こらなければ、そのまま対策をせずに放置してしまいがちが取組ですが、何か起こってからでは遅すぎるので、少しずつでも体制を整ていき、有事に備えていきましょう。
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