こんにちは。
調達業務を行なっている時、どの様な判断基準でモノを購入すれば良いか悩む事はありませんか?
例えば、
・この商品/部品は本当に安いのだろうか?
・この商品/部品の品質は良いのだろうか?
・この商品/部品のリードタイムは適正なのだろうか?
など。
ここでは、主にQ(品質)C(コスト)D(納期)に絞って説明します。
バイヤーはどのような基準で調達をすれば良いのか?
価格:本当に安いのだろうか?
まずは、バイヤーである以上、コストから考えていきましょう。
「本当にこれは安いのだろうか?」
この問いに答える前に、まず、自分が何を買うのかを確認してみましょう。
大きく分けて、購入するものとしては3つに分類されます。
1. 商品(完成品)
2. 部品
3. サービス(無形)
商品(完成品)、サービスの場合
競合環境を作り出す
商品(完成品)、サービスの場合、価格の推測が非常に複雑であり、まず自分自身の知識だけでは不可能です。
その為、その価格が安いのか高いのかを判断するには、相見積りを取る必要があります。
複数のサプライヤーから見積もりを入手し、どの価格が妥当であるのか、を検討しましょう。
価格交渉においてやるべき事は、「サプライヤーに対して競合環境を作る事」です。競争相手がいる事で、価格を下げていく交渉が可能になります。
サプライヤーには「競合他社と相見積もりで判断をする」と宣言しておきましょう。
サプライヤーに「競争相手がいる」ということを意識させる事が重要です。
「相見積もり」は調達業務において、基本中の基本です。
特に商品(完成品)やサービスの場合は、コスト算出が困難であるため、コスト交渉においてはサプライヤーの方が優位になりがちです。そのため「対バイヤーとの闘い」から「対競合他社との闘い」という構図に変更させましょう。
なお、相見積もりが出来ない事もあります。
それは、その商品がメーカーの特許や技術的な特殊性が高いために他メーカーが作れない場合です。
この場合は、サプライヤーとがっつり膝を突き合わせて交渉していく必要があります。その方法は別途紹介します。
部品の場合
競合環境を作り出す
やはり、一番重要な事は「複数のサプライヤーから相見積もりをとって競合環境を作り出す事」です。
サプライヤーに対して、バイヤーとの交渉だけでなく、同業者との競争もあるということを理解させる事が重要です。
データベースを作る
部品単体の場合、似たような部品を既に購入している事があります。
その場合は、過去に類似部品をいくらで購入したのかを確認する事で、今回購入する部品に対する適正価格を予測する事ができます。
価格はバイヤー側から提示するのではなく、サプライヤー側からまずは提示させましょう。そのうえで、類似品との価格差が大きければ、そこから交渉の開始となります。
コストテーブル
部品の場合、コストテーブルを使用する事で、予めある程度のコストを予測したうえで交渉のテーブルにつく事もできます。
ただし、コストテーブルを作るにはノウハウが必要であり、非常に難易度が高いです。その作り方に関しては別途紹介します。
品質:これは本当に良いモノなのだろうか?
傷の付いたバイクを買いますか?
私はインドから部品を購入した事がありますが、購入するにあたり、部品の品質に非常にてこずった経験があります。
部品の表面に小さな傷があってもインド人は気にしないのです。
もっと言えば、材料の管理から劣悪であり、材料の上を歩くという事は日常茶飯事な状況でした。
インド人から見ると
「その部品は機械の見えない箇所に使われている部品なのだから傷があっても良いではないか」
という事らしいです。
そのようなインド人に対しては、
「あなたは自分が買ったバイクのエンジンの見えない箇所に使用されている部品が傷だらけだった場合、そのバイクを買いますか?」
と聞き、品質面での意識を上げてもらう事ができました。
機械の見えない箇所に使われている部品だから少しくらいの傷なら良いではないか?というインド人の主張も確かに一理あるかと思いますが、それを許さない理由があります。
1つの妥協から全体が崩れる
品質というのは明確な基準をしっかり置き、いかなる場合もその基準通りに判断する必要があります。
例えば「この部品は機械の見えないところに使用されるから少々の傷は許容しましょう」と妥協してしまうと、どの部品まで傷が許容されるのかという判断が曖昧になってきてしまいます。
結果、全ての部品の品質が低下していくキッカケになってしまいます。
そのため、たとえ機械の見えない箇所に使用される部品でも傷は許容しないという態度で臨むべきと考えます。
表面処理は材料のママ
部品によっては、表面処理は材料のままと指示されている事があります。
つまり、コストを抑えるために部品表面には磨き処理など不要にしている事があります。
この場合、部品表面に傷があった場合、サプライヤー側の言い分として「図面には材料のままの品質でOKと書いてある」と言われる事がありますが、その場合には毅然とした態度で
「確かに材料のままでOKという図面になっていますが、傷があっても良いとは書いてありませんね」
と説明しましょう。
過剰品質は避ける
機械の見えない箇所に使用される部品まで傷を許さない、というのは過剰品質と思われるかもしれませんが、それは過剰品質ではありません。
過剰品質というのは、バフ磨きで十分なものに対して鏡面磨きを要求するといった事です。
品質の良い製品/部品はベターではありますが、過剰品質はコスト高になるだけなので避けましょう。
納期:適正リードタイムとは?
適正リードタイムというのは、部品のサイズや加工によって異なります。
サプライヤーと見積もり段階でしっかりと打ち合わせを行いましょう。
ここで重要な事は「無茶なリードタイムで、無理矢理合意をしない事」です。これをしてしまうと、納期遅れが発生した時に強気に指摘出来ないです。「だから無理だと最初から言っているではないですか」と言われ、「それでも合意した内容なのだからやってくれないと困る」と返しても、物理的に厳しいのであれば、それを短縮できるような魔法はありません。
基本的にはまず「自分たちが何日で欲しいか」をまずは考えて、それをベースに交渉をしていきましょう。
どうしても自分たちの希望リードタイムに合わない場合は、自社で在庫を持つ、または商社を間に入れて、商社に在庫を持ってもらう、などの方法を考えましょう。
まとめ
まとめると
・価格:相見積もりをする事で競合環境を作る
・品質:明確な基準を持ってブレずに毅然とした態度で判断をする
・リードタイム:サプライヤーと見積もり段階でじっくりと話をする
これが重要となってきます。
それでは。
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