最近、下請法で急速にクローズアップされているのが「金型保管費用の支払い」である。
今回はコレに関して現場がどうなっているのか?解説すると共に対策を考えよう。
金型とは?
金型とは製品の部品コストを抑制する加工方法の「プレス」に使用されるツールである。
樹脂成形にも使用されるが、今回の話から逸れるので割愛する。どうしても知りたい方はググって下さい。
金型のサイズはピンからキリまであり、数十キロから数百キロ以上のものある。簡単に言うと「大きな金属の塊」である。
何か問題があるのか?
今、問題視されているのが金型の保管費用である。
金型というのは使用されない時は、業者の金型保管棚にて保管されている。使用するたびに購入元から支給されるものではない。
前述通り、金型のサイズは大きなものもあり、部品によっては複数の型を使用することもある。
しかも、対象の部品というのは、いつまで生産するのか?というのはなかなか分からない為、購入元から「もう使わないから廃棄してくれ」と依頼があるまで保管し続けなければならない。
金型は一つ数百万円の物もあり、作るには数ヶ月かきるため、簡単に作り直せるものでもない。
この金型の保管であるが、、、普通に考えたら「金型保管費用」が購入元から部品業者に支払われるべきなのだが、実際には支払われていないケースが多い。というか、殆ど支払われていなかった。
金型は数が多く、サイズも大きいものもある。だから業者は倉庫を借りて保管したりする。
当然、その倉庫代は業者負担となっている。結果、業者の利益を圧迫することとなる。
こういった保管料を業者負担とさせている事が、この問題点であり、公正取引委員会が是正を求めている点となる。
大元の背景
これまで支払われて来なかった保管料なのだが、何故、今になって支払いを命じているのか?
これは物価高など景気に影響する。
政府は物価高対策として、少しでも下請け業者にお金が入る様にして、その利益が従業員に還元する様にする狙いがある。
実際にどうなのかは別として。
対策(下請け業者)
簡単に言うと、このビッグウェーブに乗りましょう。
下請法では、金型代金を請求する事によって、購入元からあからさまな報復行為は禁じている。
例えば、購入量を減らすなどの対応である。しかも公正取引委員会は、部品の購入側に「ちゃんと金型保管料を支払っているのか?」という調査に入る。だから、支払っていない事実が判明すると罰せられることとなる。
部品購入元に対して、金型保管料を請求する際、当然、金型がどれだけ存在するのか?保管料はいくらなのか?を提示する必要がある。
金型のサイズで決めるのか?保管場所の値段で決めるのか?は業者次第なので、金型保管記録、納得性のある保管料の計算はできる様にしておきましょう。
対策(部品購入者側)
今回の是正は逃れらるものではありません。
支払うべきものは支払う事です。
支払うべきもの、とは何を指すのか?
正確に言うと、廃棄はしないけど長期間使用していない金型、である。
使用している金型の保管料までは支払いを命じていないです。
長期間とはどれくらいの期間を言うのか?
2年です。(念のため自身でも確認して下さい)
当然、全く使用しておらず、今後も使用しない事が確定している金型は廃棄する様にしましょう。
あと、コレはずっと継続的に求められていきます。
その為、金型の預け記録、使用する部品をいつまで購入するのか?などを会社としてしっかり管理する様にしましょう。
下請け業者自身で、金型の保管状態を管理できない場合は、自社で対策を講じる事をお勧めします。
実際に支払われているのか?
大手企業が是正勧告を受けてからは、大抵の企業は支払いを開始しているかと思います。
なぜなら、支払っていなかったら公正取引委員会により社名、社長名などが公表される為である。
公表された企業は信頼度が落ち、製品の販売に影響が生じる為である。
では、支払った金額が、実際に金型を保管している業者に渡っているのか?
コレは渡っていないケースが見られる様です。
一時下請け業者まではお金が渡っているものの、二次下請けまで渡っていないケースがある、と言う事です。
こういったケースにも今後は調査が入ると思うので、支払ったお金がどうなっているのか?というところまで確認はした方が良いでしょう。
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